(3)異議申立ての回答

約半年後、回答が来ました。

決定書

異議申立人

平成25年2月26日になされた異議申立てについて、次のとおり決定する。

主文

本件異議申立てを棄却する。

申立ての要旨

当委員会は、平成25年2月24日、道路交通法(以下「道交法」という。)第101条第5項の規定に基づき、異議申立人(以下「申立人」という。)の運転免許証(以下「免許証」という。)の有効期間の更新を行うに当たり、申立人が
〇 平成21年6月28日「速度超過(25未満)」(点数2点。以下「本件違反」という。)
をしたことを理由として、有効期間を平成30年(有効期間5年)までとする一般運転者を対象とした免許証(免許証の有効期間欄が薄青色のもの)を交付する処分をした(以下「本件処分」という。)。

これに対し、申立人は、本件処分を取り消し、有効期間を平成30年(有効期間5年)までとする優良運転者を対象とした免許証(免許証の有効期間欄が金色のもの)を交付するよう求め、その理由として

  1. 平成21年6月28日に受けた取締りに対して苦情申出をしていたが、福岡県公安委員会は、苦情原因を避けた回答を繰り返し、理由もなく「取締りは適正であった。」などと回答している。
  2. 福岡県公安委員会に、苦情申出の回答に納得できない旨伝えたが、一方的に回答を打ち切られ、その後の苦情申出の回答も得られていない。
  3. 福岡県公安委員会から回答が届かないまま免許更新手続きを行ったが、警察の不正な取締り、一方的な公安委員会の回答や打ち切りという対応を受けており、問題が解決していない現状での「一般運転者区分」運転免許証の交付処分に納得ができない。

旨 主張している。

理由

道交法第92条の2第1項の表の備考及び道交法施行令第33条の7は、優良運転者、違反運転者等及び一般運転者の定義について

(1) 優良運転者
更新日等までに継続して運転免許(以下「免許」という。)を受けている期間が5年以上である者であって、道交法第101条第5項の定義により更新した者にあっては、更新前の免許証の有効期間満了日の直前の誕生日の40日前の日前5年間において違反行為等をしたことがない者

(2) 違反運転者等
更新日等までに継続して免許を受けている期間が5年以上である者であって、道交法第101条第5項の規定により更新した者にあっては、更新前の免許証の有効期間満了日の直前の誕生日の40日前の日前5年間において、違反行為等をしたことがある者(3点以下の軽微違反行為1回をした場合等を除く。)又は当該期間が5年未満である者

(3) 一般運転者
優良運転者又は違反運転者等以外の者

旨それぞれ規定している。
そして、当委員会が作成する免許証は、優良運転者にあっては有効期間欄を金色とするとともに免許の条件等欄の一部に優良と表示し、一般運転者及び違反運転者等にあっては有効期間欄を薄青色としている。

2 道交法第22条は、
「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。」
旨規定し、これを受け道交法施行令第27条では、
「最高速度のうち、自動車が高速自動車国道の本線車道を通行する場合の最高速度は、普通自動車等にあっては、100キロメートル毎時と定める。」(以下「法定速度」という。)
旨を規定しており、これに違反した場合は、「速度超過」として点数制度による基礎点数が超過速度の区分により1点から12点まで付されることとなる。

3 本件の場合、関係記録によれば

(1) 福岡県警察本部交通部高速道路交通警察隊の警察官(以下「高速隊員」という。)2名は、平成21年6月28日午前9時30分ころから、交通取締用自動車(以下「覆面パトカー」という。)に乗車して、最高速度を法定速度としている九州縦貫自動車道の久留米インターチェンジ(以下「インター」という。)から南関インターの間(以下「本件区間」という。)の道路を走行する車両を対象とした交通指導取締り(以下「本件取締り」という。)を開始したこと。

(2) 本件区間は、中央分離帯により分離された片側2車線の道路で、下り車線幅員は約7.5メートルであり、同車線の東側には約3メートルの路側帯が設置され、最高速度に関する道路標識は設置されていないこと。

(3) 本件取締り中の同日午前10時55分ころ、高速隊員らは、下り126.1キロポスト付近の走行車線を約90キロメートル毎時で走行中、追越し車線を目測速度約130キロメートル毎時で覆面パトカーを追抜いて行く普通乗用自動車(以下「本件車両」という。)を認めたため、追越し車線に進路変更し、本件車両の後方に位置し追い上げを開始したこと。

(4) 本件車両はさらに速度を上げたことから、覆面パトカーが追い付くのに距離を要し、約1.6キロメートル追い上げた下り127.7キロポスト付近で本件車両に追いつき追従を開始したこと。
この時、覆面パトカーの速度メーターでは約150キロメートル毎時を指していたが、下り127.9キロポスト付近において、本件車両は先行していたワンボックスカー(以下「A車」という。)に追い付き、約110キロメートル毎時まで減速したことから、追従測定に必要な距離を確保できず、速度測定に至らなかったこと。

(5) その後高速隊員らは、本件車両の後方を通常走行したいたところ、約600メートル進行した下り128.5キロポスト付近において、先行していたA車が追越し車線から走行車線へ車線変更し、本件車両が再び加速を始めたことから、再度、速度測定を行うため追従を開始したこと。

(6) 高速隊員らは、さらに約400メートル追従した下り128.9キロポスト付近において、本件車両の速度変化がなく、覆面パトカーの速度が安定したことから、本件車両との距離約50メートルを保持して追従速度測定を開始したこと。

(7) 高速隊員らは、覆面パトカーと本件車両の車間距離を約50メートルに保持したまま、約300メートル追従した福岡県みやま市山川町原町の下り129.2キロポスト付近において、覆面パトカーに備え付けられたデジタル式スピードメーター(以下「測定器」という。)により「124km/h」と速度測定を完了したことから、本件車両を速度超過(24km/h超過)と認め、サイレンを吹鳴させて、車載マイクにより左側走行車線に入るよう指示したこと。

(8) 本件車両は、時速約100キロメートル毎時まで減速し、下り129.4キロポスト付近において、走行車線へ車線変更したことから、覆面パトカーを本件車両の右側に併進させ、サイレンを吹鳴しながら車載マイクで、
〇 覆面パトカーが前に入りますから、付いて来てください。
旨指示し、本件車両を下り129.7キロポスト付近の路側帯に誘導停止させたこと。

(9) 覆面パトカーの助手席に乗車していた高速隊員(以下「甲隊員」という。)は、覆面パトカーから降車し、本件車両の運転席に駆け寄り、運転者である申立人に対し、
〇 速度違反です。ここで事情聴取するのは危険ですから、南関インターまで移動します。パトカーに付いて来てください。
旨指示し、本件車両を熊本県玉名郡南関町1425番地南関インター料金所の手前駐車場まで誘導し停車させ、甲隊員が降車し、申立人を覆面パトカーの後部席に乗車させたこと。

(10) 申立人が覆面パトカーに乗車後、覆面パトカーの運転席に乗車していた高速隊員(以下「乙隊員」という。)が、申立人に対して、測定器の速度表示装置の表示管に表示している「124km/h」と速度測定結果記録紙に印字されている速度「124km/h」を確認させ、申立人に
〇 現場の高速道路は、法定100キロメートル毎時で、速度測定が124キロメートル毎時ですから、24キロメートル毎時の超過となります。
〇 前方を進行していたA車が進路を左に変更した後、貴方が加速して速度を出していますが、速度が安定したところで測定しています。
〇 A車に追い付く前は、あなたの車の速度メーターでは150キロメートル毎時くらい出ていたはずです。
等と申し向けたこと。

(11) これに対して申立人は、高速隊員らに
〇 12時までに熊本までいかなければならなかったので、急いでいた。
〇 警察官が言われるような150キロの速度は出していないが、A車を追越すときは、表示しているくらいの速度は出ていた。
旨申し立てて本件違反を認めたことから、甲隊員が本件違反について交通反則切符を作成し、申立人に対して交通反則切符の供述書(甲)欄に署名等を求めたところ、申立人は「私が上記違反したことは相違ありません。」等とある不動文字の下部に「124km/h、xx」と署名捺印し本件違反を認めたこと。

(12) 乙隊員は、申立人に対して、交通反則通告制度の反則金の納付手続きについて、
〇 納付書に住所氏名を書いて、郵便局か銀行で7月6日までに反則金1万5千円を納付してください。
旨を説明し、交通反則告知書及び納付書を申立人に手渡したところ、これを受け取り現場から立ち去ったこと。

(13) 本件取締りに使用された測定器については、本件違反日前後である平成21年6月23日及び同年7月16日に自車速度計のメーター検査が行われているが、異常は認められなかったこと。

(14) 本件違反に係る関係記録の送付を受けた福岡県警察本部交通部運転免許管理課は、記録を精査した結果、申立人による本件違反は明白であると認定して、違反記録を行ったこと。

(15) 本件違反の反則金納付については、平成21年6月29日に反則金の納付確認がされたことから、道交法第128条第2項に基づき、本件違反についての公訴の提起はなされなかったこと。

が認められる。

4 申立人は、「福岡県公安委員会から回答が届かないまま免許更新手続きを行ったが、警察の不正な取締り、一方的な公安委員会の回答や打ち切りという対応を受けており、問題が解決していない現状での「一般運転者区分」運転免許証の交付処分に納得ができない。」旨主張しているが、申立人の当委員会に対する苦情申出に対しては、当委員会が法に基づき回答しており、申立人の主張は失当である。
また、上記理由3(3)乃至(12)のとおり、高速隊員らによる本件取締りは適正に行われており、さらに、申立人は当時から「A車を追越すときは、表示しているくらいの速度は出ていた。」と自認し、交通反則切符の供述書(甲)欄に、申立人が自ら署名指印等を行い、後日本件違反の反則金も納付しているのであるから、申立人が本件違反を犯したことは明らかであると言わざるを得ない。

5 以上のとおり、上記理由1の規定に照らし、申立人が「一般運転者」に該当することは明らかであるから、当委員会が行った本件処分は、適法・妥当であって、本件異議申立てには理由がないので、主文のとおり決定する。

平成25年7月25日
福岡県公安委員会

この謄本は、決定書原本と相違ない。
平成25年7月25日
福岡県警察本部総務部総務課長

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